共和小学校 西澤です。大変お世話になっております。
突然ですが、私はここ10年くらいキャンプにハマっています。私の数ある探究活動のひとつです。もはや義務感とも言える気持ちに背中を押され、寸暇を惜しんで野営している今日この頃です。長野市内から一時間以内で辿り着けるキャンプ場もたくさんあります。限られたスペースではとても語りつくせない魅力がキャンプにはありますが、今回はキャンプの醍醐味のひとつである焚火について書きたいと思います。
焚火は、日常生活では決して味わえない特別な魅力を持っています。現代社会では、私たちは常にスマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスに囲まれ、絶え間ない情報にさらされています。しかし、焚火の前に座ると、そうしたデジタル機器の喧騒から解放され、ただ静かに炎を見つめることで得られる深いリラックス感に浸ることができます。炎の揺らぎは不思議な魅力を持っており、無意識のうちに心を癒してくれます。デジタルデトックスには最適です。焚火の炎を見つめていると、忙しい日常を忘れ、時間がゆっくりと流れていくのを感じることができます。炎の変化は自然そのものであり、その揺らぎを追いかけることで心が自然に静まり、瞑想的な状態に導かれます。こうして心と身体の「ささくれ」が癒されていく体験は、焚火だからこそ味わえるものです。
焚火のもう一つの魅力は、火を起こすための準備やその後のメンテナンスにあります。例えば、薪を割る作業は、ただの労働ではなく、特別な満足感を伴うプロセスです。斧やナイフを使って薪を割るときの瞬間は、ほんの少しの緊張感と達成感が入り混じり、腕の筋肉の心地よい張りとともに薪がパキッと割れる音がなんとも心地よいです。そして、自分で割った薪を使って火を育てると、その火が持つぬくもりや炎の美しさが一層特別なものに感じられます。
また、焚火に使う道具やグッズのメンテナンスも、大きな喜びの一つです。斧やナイフを無心で研ぎ続け、気持ちよく薪を割ることができるように入念に準備をしておく。日ごろの入念な準備こそが、焚火の満足度をより高くしてくれるのです。また、細かい手入れは、道具への愛着を深め、次に使うときの満足感を高めます。使い込んだ道具ほど、手触りや使い勝手が馴染んできて、自分だけのパートナーのような存在に感じるようになります。
さらに、焚火を楽しむためのグッズそのものにこだわることで、キャンプ体験がさらに豊かなものになります。例えば、素材と長さにこだわりすぎて酸欠になってしまうような重厚な火吹き棒や、ダンベルかと思うほどにゴツくて重い火ばさみなどの焚火アイテムがあると、火を育てたり維持したりする作業がより趣深いものになり、より深く味わうことができます。焚火台や焚火シートを使うことで、地面を傷つけないことも忘れてはいけません。
焚火は単に暖を取るだけの手段ではないので年中行います。自然との対話、そして自分自身との対話の時間を与えてくれる存在です。自然の中で炎を囲み、ゆったりと流れる時間をクリエイトすることは、心身ともにリフレッシュする最高の手段です。ずっと腰を丸めて座っているので激しい腰痛に襲われるなんてことは気にしてはいけません。また、焚火を通じて自分で火を育て、そのぬくもりを感じることで、普段の生活では得られない根源的な安心感や満足感を得ると見せかけて、身体が疲れ切ることで結果的によく眠れることがあるかもしれません。
焚火の魅力は、一度体験すると病みつきになるほど深いものがあります。炎の美しさ、薪を割る作業、道具を手入れする楽しさなど、様々な喜びが詰まっています。これらを通じて、普段の忙しさから解放され、自然と一体になる感覚を味わえるのです。合理性とは真逆の時間をつくり出して不便さを思う存分味わうことが、私にはとても大切なのです。
というわけで、皆さんも焚火をしたくなったと思います。ぜひ試してみてください。焚火が、みなさんの心に深く刻まれ、人生をより豊かにしてくれることでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

