第75回長野県児童生徒美術展(図工美術の部)において、今年度も各校から多くの出品がありました。その中から県選抜入選作品の一部を「教育会ギャラリー」に掲載しました。生き生きとした児童・生徒の表現を、「作品への思い」と併せてご鑑賞ください。
どの作品も力作であることはもちろんのこと、一つ一つの作品にその子なりのこだわりや思いが込められています。毎年、作品を出展していただく際に、児童・生徒のみなさんの作品に対する思いをコメントとして添えてもらっています。
例えば、1年生の「あめのひに おさんぽ」です。作品を見ると、画面いっぱいに描かれたカタツムリの姿が目に入ってきます。カタツムリの目などの表情もユニークでとても魅力的に描かれています。
作者のコメントを見ると、こんなことが書かれています。
「たのしくて うれしい気持ちを からの中に いっぱいつめこんで、おさんぽしているところを 想像したよ。」
コメントを読んで、あらためて作品を見てみると、左下の黒く塗られた殻の部分に作者の「うれしい たのしい」がたくさん描かれているのが分かります。本人のこだわりが、殻の部分に詰め込まれています。
また、6年生の「思い出のランドセル」では、
「様々な思いを込めてランドセルを描きました。まだまだ思い出をつめこみたいのでランドセルはあいています。」
というコメントが添えられています。ただランドセルの蓋を開けて描こうとしたのではなく、小学校卒業を控えた作者の思いが、モチーフであるランドセルを介して表現されています。
さらに、中学2年生の「ミスティック・オーシャン」では、
「なるべく青を使わずに海を表現したい」
と考えた作者が、色紙の色の選択や切り取る形、パーツの組み合わせ方を工夫し、新しい海のイメージを表現しようとしています。コメントを読むことで、新しい美を創り出そうとしている、作者の中学生らしい学びの姿に気づくことができます。
作品を見ながら、その子はどんなことを表現しようとしたのかと想像してみることはとても楽しいことです。さらに、コメントを見て作者の思いに触れると、作品の見方が広がります。
表現の裏側には、その子なりの思いやこだわりが込められています。そんなことを考えながら、子どもたちの作品をご覧いただけたら幸いです。