3月1日から、教材データベースのシステムがレベルアップします。
さきにチラシで広報した通り、最大のセールスポイントは「文字入力なし」でもそれなりに絞り込まれたデータに到達できることです。
これは、テキスト入力がハードルになってしまう児童はもちろん、新しい学校に赴任したばかりで地域の素材を手探りしている先生の応援にもなるはずです。
ぜひ、お試しください。
この機能を実現するために、ユーザーから見えないところで複数のリニューアルをしましたので、結果としてキーワードから探す王道の使い方でも格段に精度が上がっています。
今日は、そのあたりを実感していただけるような裏話をひとつ紹介します。
今年度の作業で、それぞれのデータの「分類」や、付与された「キーワード」を検討する段階があって、端からデータを見ていたところ、ポツンとひとつだけ「キティ台風」というキーワードが与えられた写真(裾花ダム)がありました。
私は「キティ台風」の名にかろうじて「聞き覚えがある」程度で、これが長野市にどんな被害をもたらしたかを知りませんでした。とんだ不勉強で、昭和24年台風第10号(キティ)がもたらした洪水は、長野市街地の広い範囲を飲み込んだのでした。
この台風の名が書き込まれた「裾花ダム」は多目的ダムで、調べてみると、その建設目的のひとつに、キティ台風のような洪水の防止があったのです。さきのキーワードは、状況から2020年度の委員が書き込んだものです。
よく気づいたなぁ、と書き込んだ委員に感謝しながら、ここからがホントの仕事の始まりです。いま(その時点)のままでは、このキーワードがセットされていることを知らない限り、だれも検索に利用できませんし、なにより他のデータからキティ台風のことが浮かび上がりません。
そこで、全データから「水害」のキーワードを持つものを拾い上げ、さらに発災年月日の情報を精査していくと、やはり「昭和24年」の洪水の記録写真が5点も登録されていました。長野市中御所付近で、家屋が流されるレベルの洪水が町を襲っているものでした。情報源にあたるとキティ台風のものであることが確認できましたので、これらにも「キティ台風」のキーワードを付与しました。
それでもユーザーがこの言葉を知らなければ検索していただけませんから、「解説」らんに「キティ台風」のことも書き込みました。・・・こんな作業の繰り返しで、次第に各データがリンクされていったのが、今年の作業でした。これで、2年前に「キティ台風」の一語を書き込んだ委員にようやく少し恩返しできたような気がします。
新しい版では、新設の「単元から探そう」ボタンで「災害に備える」を選ぶと91件のデータがピックアップされます。たとえばここで地区を「長野駅周辺」に絞ると裾花川の洪水の記録写真が見られますし、解説にある「キティ台風」に関心を持ってキーワード検索をすれば、現存の「裾花ダム」までたぐり寄せることもできます。
まだまだ課題の多いデータベースですが、こうして少しずつ使い勝手がいいものになっていきますので、引き続き使いながらご意見をお寄せください。
教材データベース委員会