小川小学校の德永幹子です。私に起こった「まさか」を紹介します。
ある日、家に帰ると、大きな茶色い毛玉のようなものが目にとまり、「あれ?」と思ってよくよく見ると、トイプードルの子犬でした。動物が苦手な私は血の気が引きました。「目が合ったから。」「かわいいでしょ。」「家族が増えたね。」と、動物が大好きな夫と娘がにこにこ言います。・・・とうとう思い切ったようです。
それまで夫と娘は、学校で山羊とくらして喜んで世話をしたり、動物園に行ってふれ合いコーナーで長居したりしていました。私はそんな姿を遠くから見守っていました。動物をかわいいとは思うのですが、どう接したらいいのかわからないし、においが苦手なので、ちょっと怖くて不思議な存在だったのです。担任する子どもたちと一緒に生き物を飼うこともすごく魅力的だったのですが、どうしても一歩を踏み出せませんでした。
それが突然、一緒に生活することになったのです。激怒していた私ですが、おかまいなしに無邪気に近寄ってくる「そこに在る命」の力は大きくて、1ヶ月経つ頃には、すっかりほだされていました。恐る恐る触っていたのが、気がつくと毎日一緒に散歩に行き、我が子のように見つめる自分がいたのです。私自身がこの心境の変化に一番驚きました。まだこんなにも変われる自分がいたのか、と。
生き物や人との距離って、人それぞれ違うものだとは理解しているつもりでしたし、変化するものだともわかっていました。ただ、この変化を自分ごととして実感すると、新しい世界に触れる楽しさにわくわくするのです。あまりに調子に乗って、ちょっとお知り合いになった柴犬さんをなでようとしたところ、がぶりと軽く手首を噛まれ、相手の距離感を大切にすることを見失っていたと思い知らされるのでした。
まだまだ飼い犬以外の生き物とふれあうには壁がありますが、テレビや道ばたで見る動物さえも、今までとは違って見え、感情移入することも多くなりました。 犬が大好きな先輩先生に「いつかは先立つ命。生きている間を幸せに過ごせるように一生懸命お世話することだよ。」と教えていただいたことを胸に、今日も眠い目をこすりながら、散歩に行きます。
