長野上水内教育会

教育会役員リレーエッセイ⑥「長野市大岡で大切にしているもの~芦ノ尻道祖神~」

2025.07.17 WEB更新更新情報

長野市大岡地区に来たら、一度は見たい神面装飾道祖神。芦ノ尻にある道祖神です。1998年の長野冬期オリンピックの開会式にも登場しました。この神面装飾道祖神は、毎年1月7日に神面装飾が取りはずされ、新しい神面が取り付けられます。

右の写真は令和7年1月7日に装飾が取りはずされた道祖神碑です。一年の中で、この瞬間にしか見ることができません。力強い行書体で書かれた道祖神の文字。碑の右側面には「明治元年冬月日」と刻まれています。この碑が1868年に建てられたことが分かります。

☜こちらの写真は、令和7年1月7日に芦ノ尻道祖神保存会の皆様によって仕上げられたばかりの神面装飾道祖神です。凜としたお顔立ちです。正月に各家庭で飾った注連縄を用いて装飾されました。使われている注連縄の種類は、大きく分けると3種類(おおやす、こやす、御棒締め)あります。12月に大岡小、大岡中の児童生徒は、芦ノ尻道祖神保存会の皆様の手ほどきを受けて、3種類の注連縄をつくります。昔から、稲わらには神様が宿ると言われてきました。その稲わらを編み、私たちを悪霊、疫病から守ってくださる道祖神に装飾するのです。またこの行為は、道祖神の風化を防ぐためでもあるのです。

忘れてはならないのは、神面装飾道祖神の右隣にある小さな小屋掛けしたものです。実はこれも道祖神です。こちらは双体道祖神をお祀りしていますが、砂岩でできているためかなり風化が進み、夫婦の姿はほとんど確認できない状態になっています。道祖神の大きさに関係なく、また風化がどんなに進んでいても、私たちを守ってくださるどちらの道祖神も大切に護ろうとしている芦ノ尻地区の皆さんの温かな思いを感じます。

長野市大岡地区にお越しの際は、ぜひとも芦ノ尻道祖神をじっくり、ゆっくりご覧ください。現地に行くと、神面装飾道祖神が北アルプスの山並みを眺めるように建っているのが分かります。どうして北アルプスを眺めるように建っているのでしょうか? その理由を探しに、是非ともお出かけください。(文責:常任委員 大岡中学校長 山口直行)

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