長野上水内教育会

『やってみよう!「本質観取」』が開催されました。

2025.12.02 WEB更新更新情報講座

11月29日(土)13:30~「やってみよう!『本質観取』」が開催されました!

今年も、熊本大学大学院教育学研究科准教授 苫野 一徳先生をお招きして、「本質観取」の講座が開講されました。50人を超える参加者のみなさんが、「よい授業とは」をテーマに語り合いました。

はじめに苫野先生から「本質観取」のやり方について、簡単に説明があり、みなで体験をもとに対話を重ね、「よい授業とは」について納得のいく本質を言葉にするという目標を共有しました。

<グランドルール>

  • 対等な立場で、耳を傾けましょう(対話しやすい場づくり)
  • 知識ではなく「体験」から
  • 沈黙も全然OK!

<今日の本質観取の対話の流れ>

  • 自己紹介/様々な体験・具体例を出す
  • 共通するキーワードを見つける
  • 本質を言葉にする
  • ふりかえり・質疑応答など

まずは、テーマ「よい授業とは」について、自分の体験を語るワークが始まりました。

・子どもたちが主語。ひまな子がいない授業。

・実験方法を自分たちで考えて、子どもたちがどんどん自分で取り組んだ授業

・先生も生徒も本気で対話した授業

・教師の予想をはるかに超えて、子どもたちが登場人物について語り合った授業

・「子どもたちきっと喜ぶぞ」と教師もわくわくして行う授業

先生方は、自分のこれまでの授業を振り返り、うまくいった授業、いかなかった授業などについてたくさん意見を出していました。みなさんどちらの経験もあるので、「よい授業の本質を知りたい!」という願いが強いのだなと思いました。

次にその経験談をもとに、「キーワード」を見つけるワークです。少しずつ「本質」に近づいていくワークです。

・空気感 ・余韻 ・安心感 ・達成感 ・わくわく感 ・成長への期待

・本気 ・生き生き ・心が動く ・頭が動いている ・子どもがかわる

多くのキーワードが出されてきました。いよいよこれらのキーワードをつなげて「よい授業」の本質を文章にします。本質の「ど真ん中」は何か?このワークが一番みなさんを悩ませていました。最終的には、次のように表現されました。

・よかったなあ(満足)→次につながる授業

・全ての子どもが成長への期待を実感できる/成長への期待が生まれてくる授業

・教師が確かな子ども観を持って、大事にしたいことがある授業

・気持ちが動く(思考・体も)授業

・気づきがあり、新たなものに出会い、成長を感じる

・子どもも先生も心が動き、新しい自分に出会える授業

・心が動いて、学びがある授業

・子どもも先生もトライ、チャレンジのある授業

・子どもと教師の願いが重なる

・教科の本質からぶれない、必要な教師の出

「わからない」が自然発生し、それを解決しようとする

・クラスの熱意と安心感

・関わり合って考え、心と体が躍動する授業

・心が動く 教師が本質を伝えたいー伝わる

グループで考えていただいた「よい授業の本質」はなるほどと思うものばかりでした。どれもめざしたい授業です。本来であれば、実現のための条件を自分で考えていくのですが、ちょうどここまでで時間となってしまいました。

先生方からは次のような感想をいただきました。

・「いい授業」という言葉はこれまで何度も使ってきましたが、あらためてどんな授業がいい授業なのかを言葉にしてグループの先生方と伝え合うことで、ぼんやりとなんとなくもっていた自分の考えが少しずつ明確になってきました。

・5人グループでの具体的な意見交換を通じて、抽象的なテーマから具体を通して「ど真ん中」に近づいていく本質観取の実際を体験でき、最終的にグループの答えとして導き出された「クラスの熱意と安心」、他のグループの考えもお聞きでき貴重でした。

・良い授業とは何か、一度は考えたことがあるテーマであったが、自身やほかの方の経験を踏まえて深く考えることができた。自分の中では「達成感を得る」ことが最も重要に感じ、今後の授業で生かしていきたいと思った。

・「よい授業とは」をテーマに、じっくり本質を考える機会となった。子どもも、先生も「感動」する、「ひと・もの・こととつながる」ことで、主体的に動き始めるのではないかと考えました。

先生方ご自身が、自分自身の中に「よい授業とは」の何かが生まれた、生まれつつあるという感想をたくさんいただきました。

放課後タイムでは、『「心が動く」というキーワードは本質のど真ん中なのか?』というところが話題となりました。『「心が動く」のはなぜか?』を問うてみると、『「成長の期待」をもっていることが必要ではないか。しても、しなくても、できるぞ!とすべての子どもたちが願いをもって臨む授業が本質なのでは』というところまで深まりました。また「本質観取」を行う意義についても話題となりました。先生方からは次のような感想をいただきました。

・この活動を通して、私自身の考える「良いクラスとは?」「良い職員集団とは?」といった根源的な問いにも向き合うきっかけとなりました。クラスとして、学年として、あるいは学校全体で、次にどんなテーマで本質観取に取り組めるかを探求していきたいです。

朝の時間にサークル形式でぬいぐるみを回しながら対話を深める実践を始めており、子どもたちにとって安心できる環境が育まれつつあります。今回の学びを活かし、さらに工夫を実践しようと思いました。

・楽しかったです。一人ひとりが大切にしている具体を伝え受け止め合うことで、自分自身の見方も広がる…新しい自分にもであった気持ちがする今日のような体験を、教師も子ども達も授業でできるとよいなあと感じました。自分自身も悩むからこそ、他の人の考えを聴きたくなる、そして共に納得のいく解を導き出した仲間との心の距離も近くなる…そんな体験もすることができて嬉しかったです。「誰にとってよい授業なのか」という言葉やグループの中で話題になった「教師は評価者の目で子どもをみているだけでよいのか?違うのではないか」という思いも心に残っています。小中併設校である本校は、ぜひ小学校と中学校の職員で混じって本質観取に取り組んでみたいと思いました。貴重な学びの機会をいただき、ありがとうございました。

「よい授業とは」という本質を考える意義と「本質観取」を行うことの意義の両方を学ぶことができた時間となりました。「よい授業とは」の本質がみなさんのこれからに生きるように、「本質観取」を行うことによって職場や仲間の協働意識が高まり、学校全体が活性化しよい方向に進んでいくように、心から願っています。

有意義な時間を本当にありがとうございました。(文責:信濃小中学校 佐藤利恵)

 

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